浅草鳥越
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2018年9月25日(火)

江戸の粋文化の国外流出を逃れた「国粋保存」の言葉にグッとくる

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 少し前の話になりますが、木札の由来の1つでもある「千社札」研究の第一人者である滝口正哉先生の講演へ行く機会を得ました。

千社札研究の第一人者として知られる滝口正哉先生の著書

 千社札、その昔は札所巡礼などで、願い事と自分の名前を記して神社やお寺に収めた千社札、いわゆる「納札」。

神社やお寺に収めた千社札、いわゆる「納札」

その講演の中で心に響く言葉がありました。それが、

 「 国粋保存 (こくすいほぞん) 」

国芳の浮世絵

 江戸時代の浮世絵などが幕末や戦争の混乱で海外に多く流出していることは、周知の事実であり、浮世絵などの大きな展覧会などがあると「ボストン美術館所蔵」などなど、海外から海を渡って戻りくる作品が本当に多くあることを知ります。

千社札のが貼られているお寺

 そして、千社札の世界では「お札博士」と言われたフレデリックスタールというアメリカの地質学博士が、明治から昭和初期にかけて16回も来日。

千社札に没頭し「壽多有(スタール)」という札を貼り歩き、また、収集家としても今でいうマニアの粋に達す程でありました。

千社札の抜け

 当時、外国人は非常に珍しかった事が想像されます。

そこに日本の文化を深く知ろうと、自分の千社札まで作って粋の世界に足を踏み入れた訳ですから、仲間内からは「御札博士」と、もてはやされるたことも容易に想像がつく事であります。

そして、おねだりも上手だったようで(笑)

フレデリックスタール博士 壽多有

 その千社札収集にあたり当時でも貴重な史料的コレクションも有った訳で、

おねだりされるのですが、

「国粋保存のため、差し上げる事はできない」

と著名な収集家がいったそうであります。

壽多有 スタール 漢字の当て字

 そして、前出の滝口先生は、

手に入れた貴重な千社札の資料を惜しげもなく見せて下さいました。浮世絵などと同じで、暗く湿度の安定したところに保存しておくことが一番なのにです。

滝口正哉先生のサイン

 保存しておくことも大切ですが、知って頂くことも重要とのお考えからです。

私の手がける木札・・・
『国粋』とまで至っているかは自分では諮りかねますが、皆様の想いを刻む「粋事」として、これからも学ぶことを忘れないよう、

先人の残してくれた財産に触れる機会を作ってまいります。

「国粋保存」

ぐっと響く言葉を思い出しブログに刻んでおきたいと思います。

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