ただ文字が彫刻してある、ということではなく、彫刻された文字が活きた文字にするために、当初から心がけていることがあります。
それは、一文字一文字バランスを調整するということ。
ただ文字をタイプして、手間を掛けずに枠内に体裁よく収めようとすると・・・
普通にタイプしたままですとバランスが良くありません。
ですので、一文字ずつバラして丁寧に調整していきます。
神社などに良く貼られている「千社札」は、文字が太く書かれているのは、「お客様が隅から隅まで入りますように!」などの願掛けの意があります。
芳雲のお木様(木札)も、出来る限り画面いっぱいの大きな文字にしているのは、「お客様に福や良いことが隅から隅までたくさん入りますように!」という意を考えつつ、その中でバランスを調整しております。
心のこもった活きたお木様(木札)に仕上げたい!
それには、1つ1つ丁寧にバランスを取って配置することが肝要だと考えております。
2木を見比べていかがでしょうか?
私が持っていたいのは右側。
同じ文字でも一手間かけるだけで、これだけの違い出てまいります。
縦横のバランスや文字数が変わっても、同じように調整いたします。
田んぼの「田」は四角く角ばった文字なので大きく見えます。
ですから、「三」横幅いっぱいにして縦幅も少し長めに調整し、
「田」の字は、少し横幅、縦幅も小さめにすることで、バランスよく見えてくる=実際に書いているイメージしながら配置調整をしています。しかし・・・
しかしですね、私にとっては、当たり前のことなのですが、手間もかかるだけでなく、感覚的な要素も含まれているようで案外と簡単ではないようなのです。
どういうことかといいますと、白い紙に名前を書いてみます。
上手いかどうかは別として、
横にはみ出しても問題なし、全体のバランスを見ながら、制約もないので伸び伸びと書ける訳であります。
しかし、決められた枠内に、大きく書こうとすると・・・
バランスが非常にとりにくい。
一文字、一文字の大きさも1文字目に影響され、だんだん小さくなっていったり、
フリーで書いたものに枠を付けてみると、
何となくバランスが取れているようで、払いやはね、伸ばしなどの間隔が、微妙に長く感じられたりしてきます。
枠を付けなければ感じなかった全体のバランスも、微妙に崩れる感覚がしてまいります。
上下左右に枠があり制約の中で文字のバランスを調整するのは、書いている感覚も使いつつ、デザイン的な要素も必要になってくるわけです。
これを一言で表現するのであれば「間(ま)」と、いうことになりましょうか。
ですから、一文字の彫刻でも、間を考えつつ調整いたします。
上下に、隙間がありすぎても
間抜けて見えますし、
長くなりすぎると「間延び」というこに。。
一文字でも、縦横のバランスを考えて文字の大きさ長さを調整する訳です。
自分自身では、当たり前のようにしているのですが、少し詳しい友人などが作業を見てよく言われるのが、
「その微妙な感覚が、人それぞれ違ってくるんだね。それが職人技なんだね!」
一番意識しているのは、全体の「間」でしょうか。
そして、フダヤドットコムのお木様=芳雲が手掛けるお木様(木札)は、さらに、どんな想いのご依頼かを想像し、手にした方に福や良いことが隅から隅までたくさん来ますように!との思いを込めて彫刻しております。
木札づくりの道は、延々と続きます。これからも、応援宜しくお願いいたします。
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