いよいよ、象嵌木札ができるまでの工程説明の最終話になりました。
かなーーーり長~めですが、画像中心ですので流すようにご覧ください。
さて?これは何でしょう?
目を細めて、
よーーーくみると!あの形なんです!!!
象嵌木札:純銀細工を隙間なく木札に嵌め込む職人技
隙間なく、銀細工を嵌め込むきっかけになった!
・職人魂に火をつけられた一言! から、始まり・・・
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・純銀細工の象嵌は落っこちないの?
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・1つ1つ銀細工の形は同じじゃないの!?
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・象嵌木札の銀細工が出来るまで(1.金型を彫刻する)
と、本記事の
『象嵌木札の銀細工が出来るまで(2.銀細工の形に切り抜く)』まで、辿りついた訳でございます。
彫刻した金型に銀の板を設置して、
金属プレス機で圧力を掛けて
ドーーーンっ!!!
細工の細かさにもよりますが、
風神雷神様のように細かく厚みのある細工になりますと、1回だけのプレスでは綺麗に凹凸ができりません。
1回で打ち上がってしまう場合もあれば、形状が細かく複雑な場合や深さのある形状の場合には、何度も型打ちしないと打ち上がってこないこともあります。
そのまま続けてドーーーンっ!
は、できません。
一度、ドーーンとやりますと、金属が硬化しますので、続けて型打ちしても形状は変わりません。
そこで、「型打ちした細工物を崩れない程度に真っ赤に熱し金属を冷ますことで柔らかくしてます。」 これを『なます』といいます。
型打ちした銀細工を『なまし』てから再度、
ドーーーンっ!!!
金型の深さや細かさで凹凸が出きらない場合は、その都度「なまし」てから、
ドーーーンっ!!!
出来上がる品物の形状や厚みなどにより調整をしつつ、型打ちをいたします。
繰り返し型打ちされた銀細工は、このように打ちあがります。
その銀細工をお木様(木札)に、嵌め込むのですが・・・
あれ???
銀細工の周りや、中の細かい部分が切り抜けてない!!!
そうなんです。
一気に体裁よく、こんな風に切り抜いてある訳ではないのです!
金型を作ってプレスした方が、同じ凹凸での表現が綺麗にできるからで、また逆説的に、少ない凹凸で表現するには、金型を作らないと出来ないからでもあります。
本記事は、金型が出来てから実際に銀細工の嵌め込むか形になるまでを記したいと思います。
上の型打ちの行程で、ご覧いただいた通りプレス機で圧力を掛けると金属が伸びて、それぞれの形に成形されます。
したがって意匠デザインの数だけ金型が必要です。
サイズが変わって、細工物の大きさが変われば、金型も違う大きさでそれぞれ必要になります。
この回りの余白部分を切り抜く事になりますが、
ここからは、虎の意匠でご説明いたします。
回りの余分な部分を切り抜くには別の金型「打ち抜き型(以下:抜型)」を使って打ち抜きます。
打ち抜き型には「雄型 凸」と「雌型 凹」があります。
雌型に銀細工を合わせます。
銀細工の出っ張っている部分が、凹にピッタリと、ハマります。
その上から雄型凸をセットして、
打ち抜くのですが~
手作業では到底、切断する力はありませんので!!!
抜き型を機械にセットして、
ドーーーンっ!!!
画像は、先程と同じですが、似たような違う機械で
ドーーーンっ!!! 打ち抜きますと、
圧力で余白部分が切断されました・・・が、一度に金属を切断するので小さい細工物には、それなりの負荷がかかって打ち抜かれます。
次に、脚の間を同じように打ち抜きますが、別の抜き型が必要です。
こうした技術も進歩しておりますので、一度に抜く抜型もできるようになりました。
しかしながら、断面積が多くなりますと一度にかかる負荷も大きくなりますので、雄型凸、雌型凹共に、より頑丈な厚みのものが必要になります。
そうしますと作業工程は少なくなりますが、反面、抜型のコストがより大きくなってしまいます。
「数回に分けて抜くのか?」「一度で抜いてしまうのか?」
風神雷神様のように複雑な形状な場合は、必然数回に分けて行うことになります。
形状的に一度で抜ききれず、個数や細工の形状細かさによって見極めが必要になるのです。何千、何万という個数でない限り、この様に数回に分けて打ち抜くのが主流です。
さて、打ち抜いた細工を同じ位置に合わせるため、こんな風に当たりをつけます。
この当たりに合わせて
このように、一定に抜けるよう調節します。
抜型を専用のプレス機にセットしまして、
ドーーーンっ!!!
こうして、虎の形などに打ち抜かれる訳でございます。
そう、細工の大きさが変われば!
抜型も、それぞれに、それぞれの工程分が必要になりますが、
ドーーーンっ!!! ありゃゝゝ
合わせを失敗すると、この通りズレて抜かれます(笑)
ドーーーンっ!!!
あれ?覚えてます?
一番最初の問題・・・・・・
・・・・・・の答えです。。。
もう・・・質問はどうでもいい(笑)
ん?
「風神」「雷神」の余白分、まだあるよね?
良い所に気付きました!目の付け所がいいですね~(笑)
抜型や打ち抜く細工物への負担、金型への負担、それぞれにありますので、1回に打ち抜けるのは外側に残っている程度、で、
隙間が見える部分は、次の工程で切り抜きます。
「 虎 」と同じように2つ目~、3つ目の抜き型で打ち抜く事もあります。
となると「風神」「雷神」のように細かい細工は何回?
その他にも、細かい部分たくさんある!!!
そもそも、打ち抜き型だけで、細かい部分まで抜けるの?
そこで、獅子の銀細工を見てみます。
下の画像の、一番左が抜型1回で抜いた銀細工です。
アゴの下、手足の間、背中、タテガミの毛並みなどは、抜型、銀細工共に負担がないよう、この程度までしか一度に打ち抜けません。
しかしながら、この入り組んだ形、全てに抜型自体を作るの大変、合わせて打ち抜くのも大変!!!
さて、どうする?
はい、糸鋸で切り回します。
外周の切れ込んだ部分や、
内側の小さく、透かして抜ける部分は、小さい穴を開け糸鋸を通して切り回していきます。
風神様、雷神様の間も細かいですが、千手観音菩薩様の手の入り組んだところなどは、さらに細かく手間がかかります。
やっと、嵌め込む前の銀細工の形になりました。
あ~~~
銀て黒く変色するけど、最初から黒くしてますよね?
黒くする=「燻し(いぶし)」と呼んでいますが、銀を硫化させることで黒く変色しさせます。
そう『いぶし銀』です!
黒く変色させることで奥行きがつき、より立体感が増すことになります。
銀を硫化させる液につけて変色させますが、ここでは黒くしてからの工程を!
「磨き砂」という粒子の細かい砂でいぶしを剥きます。
「削る」ではなく『剥く(むく)』という表現を使います。
いぶしの付け方も、細かい奥までしっかり燻しが付いているか?
剥き方にも、どの程度まで剥くか?など、技術とセンスが問われます。
数が多い時には、籠の中で纏めていたしますが、燻しつけの技術、剥く加減、塩梅で表情が変わってくるのでございます。
しかし、、仏像シリーズの象嵌は、あえて「燻し」は付けておりません。
出来たての仏像は、金箔などで輝いていることが多いですし、
お寺の奥、うす暗いところに安置されていることが多く、薄暗くてもしっかりと光を放っていただきたい!!
やっと銀細工が出来上がりました。
木札も1つ1つ個性がありますが、銀細工も1つ1つ個性があるのです。
抜き型で打ち抜く時には、抜かれる際に金属が引っ張られ、微妙に輪郭の違いが出・・・
さらに細かい部分は、抜き型の合わせも大変ですが、手で切り回す部分もございますので、輪郭が同じくなることは2つとありません。
ようやく、1つ1つ銀細工の形は同じじゃないの!?
の、記事まで辿りつきました。
以下のページでは、出来上がるまでを工程ごとに記しております。
全公開!象嵌木札:純銀細工を隙間なく木札に嵌め込む職人技
切り抜かれた銀細工を嵌め込むまで全工程を公開中
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3.1つ1つ銀細工の形は同じじゃないの!?
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4.象嵌木札の銀細工が出来るまで(1.金型を彫刻する)
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5.象嵌木札の銀細工が出来るまで(2.嵌め込む銀細工の形に)
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1.職人魂に火をつけられた一言!
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2.純銀細工の象嵌は落っこちないの?
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□木札周辺の豆知識2
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