浅草鳥越
名入れ 彫刻木札専門店
代表職人芳雲の木育て日記

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2020年2月19日(水)

スネークウッドの極選品!大きいサイズの木札が極レアの理由

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作り手自身が、あまりの仕上がりの良さに興奮してしまいました。

スネークウッド 木札 snake wood wooden tag

通常は、お客様のご依頼品をこうしてご紹介することはできませんし、ありえないのですが、あまりの仕上がりの良さに!!!

「片側の家紋の部分だけでもご紹介させて下さいませんか?」と・・・

スネークウッド木札 極選品

木札に携わって17年で初めての事ですが、お客様より快諾を頂戴しましたので、彫刻した姿をご覧いただけるのでございます。(S様有難うございます)

塗装をしなくても丁寧に磨くだけで有り得ないくらい良い素材だ!ということは重々分かっていたつもりだったのですが、

彫刻前のスネークウッドの大きいサイズの極上柄

彫刻した後は、ここまで変わるのか!!!

絶対的な存在感に圧倒され続け、貫禄の違いを感じずにはいられないのであります。

snake wood wooden tag

ぶっちゃけ、自画自賛なのでございますが・・・(笑)、

完成した木札を見てこれほど興奮する機会も稀ですので!!!

どれほど!!!スネークウッドの良柄の大きなサイズの木札を作るのことが!いかに大変かを思う存分に語らせて頂きます。

青黒檀の象嵌木札とスネークウッド

まず、黒檀の種類の中で最高峰として知られる「青黒檀」との素材比較ですが、背面のスネークウッドは厚みを整えた粗磨きの状態ですが、木が持つ本来の質感の良さをお分かりいただけると思います。

さて!このスネークウッドは中南米が原産で、成木は「スネークウッド」というだけで稀少と言われるほど現地でも珍しく、、、

・・・その昔、原住民がスネークウッドを1本見つけると、しばらく生活ができたと云われます。現代の様に重機などは発達していないなか、どの様に管理をしたかというと・・・

スネークウッドを見つけると切り倒して誰にも見つからないように隠して保存。その後、必要に応じて少しずつ切り出しては売り、切り出しては売り、という逸話が残るほどに珍しく価値のある木とされ、こうした状況が森を守ることにも繋がっていたと伝わります。

その稀少なスネークウッドの成木が、仮に100本有ったとします。

その100本のスネークウッドの中で蛇紋のような柄が木材の面に柄が出るのは、僅かに3、4本と言われているのです。

少し前の画像ですが、2本のスネークウッド成木です。

スネークウッドB材

右側のスネークウッドは殆ど柄がありません。左側も一部に柄がありますが粗く節目も目立つようで、良柄の木札には成りそうもありません。

しかしながら、スネークウッドは元々の木の質感が良いからこそ珍重される訳でありまして、柄が無くても高級家具のような奥深さ、

柄が無くても奥深い質感のスネークウッド 木札

丁寧に磨き上げただけ!塗装は一切せずともこの質感なのでございます。

背景を明るい色に変えましても、

もともとの木の質感がよいスネークウッド

これだけの存在感があるのでございます。

話を少し戻しまして・・・
柄が出ているのは100本に3、4本、柄が有っても不規則ということですから、一部にでも濃い柄が出ていれば相当な良質材という訳でございます。

スネークウッドの板材から木札の木取りを見る柄の出方

一見、濃淡が強いと目につきやすく惑わされ易いのですが、

ご覧の幅の成木から、数センチ四方の木札のサイズに木取りしますから、小さいイサイズは、余程に柄が細かくないと模様に見えません。

1.濃淡はしっかりと出ているか?
2.柄の細かさは木札の大きさに適しているか?
3.木札全体に柄は出ているのか?
4.両面ともに柄がでているのか?

重要なキーワードになりますが、逆に大きいサイズだと、柄が大きくてもそれなりに見栄えするのでは?と、思ってしまいます。そこで、

次に取り出したります一枚のスネークウッドの板材、真ん中で切断されていますが模様の繋がりから一枚の板材であったことが分かります。

スネークウッド木札の良質素材

最近の入荷状況からすると、かなり良質な柄の出方ですが、この真ん中の位置で切断したのは「大きな裂け目」があったから。

一旦ここでバッサリ、、、

スネークウッドの木札は木取りが難しい

そう!既にお気づきの方も多いと思いますが・・・

実はスネークウッド、乾燥の段階で細かい割れ裂けが非常に多く出る素材でございまして・・・

この程度の板材ですら、こうした割れ裂けの無い素材に出会うことはあり得ないのでございます。

それでも出来るだけ!割れ裂けの少ない素材を選びたいのですが、良柄を優先させるのであれば、多少の荒れも含めた素材を仕入れ、その中から木取りしていくことになるのでございます。

では、一度に仕入れたスネークウッドが、どの位形になるのか?

神社にお参りをするスネークウッド木札の素材

これっぽっちかもしれませんが、柄の厳選をしますので一度の入荷はせいぜいこの程度、仕入れ後の氏神様へのお参りを済ませ広げてみます。

一見綺麗に見えますが、厚みを調節する機械のヤスリの凹凸がありますので粗目のヤスリから順に磨いてまいります。

急がば回れ!
表面の凹凸を無くすために、ワッセ!ワッセ!磨き途中の段階ですが近づいてみますと・・・

なんだか、綺麗になってきた!?

割れ裂けの多いスネークウッドの素材

この位の割れ裂けは、どうしても入ってしまうよね。

あらーーー残念、こうした部分は省き・・・ん?

別のクラックを発見><
あちゃーーー、こういう素材だから仕方ない・・・

そりゃー端っこだから、こうしたこともあるでしょう・・・

・・・

ありゃ、ここにも・・・

いやいや、こっちは良柄で大きい木取りができそうですよ!!!

と思ったのもつかの間、裏側をひっくり返してみると!

片側には割れ裂けがあるスネークウッド

あらまぁ、、、

気を取り直して、こっちにも柄の良さそうな部分がありますぞ!

反対側にひっくり返してみましょう!

がーーーんっ。。。言葉もない、何もない訳でなく有るのは白いスジ線、割れ裂け(クラック)。

せめて一番小さい短い右側の板材は大丈夫!?

オーマイゴッド!
やめてーーーっ、白い線!!!どんだけーーーっ!!!

こうした細かいクラック(割れ裂け)を消す方法はありませんが、塗装で埋めるというか目立たなくすることは理論的には可能と思われますが、、、

誤解なきよう塗装について!
塗装自体を否定する訳ではなく、家具などへの適材適所の塗装は、逆に必要不可欠と考えております。
それは塗装によってコーティングをして木に膜を作る、または塗装を浸透させて木の自然的な部分を一部無くすことにより、補強する役目を担う一面があるということです。

塗装の家具と生木の木札との比較

背面の塗装されたテーブルは木ですが、塗装により無機質な均一であり、「木の温もり」や「木の個性」を感じるということはありません。

装飾的な観点から見ますと、いつまでも変わらずピカピカと光っているかもしれませんが、はたして木が持つ本来の温もりや癒しの力を感じられるのでしょうか?

一般的に塗装は擦れたり極度にぶつけたり、過度の接触があると部分的に剥がれたりします。

また技術開発による浸透させるような塗装の場合、使い込んでの味わいが出にくい事だけは確かかと思われますが、加えて木が持つ温もりや癒しの力はどう感じるのでしょうか?

漆塗りと油分の浸透について

一方、漆塗りや手書きの木札も趣があって良いと思うのですが、丁寧に優しく使うことが大前提となります。

塗料の塗りがあくまでも表面的であり、異物との過度な接触を生じると、擦れや剥がれにより文字などが判別できなくなってしまうのでございます。

漆台の上に置いた生木の彫刻木札

一方で私共が手掛ける彫刻木札は、表面的でなく一定の深さで彫り込んでおりますので、多少の擦れがあっても文字が消えることはなく、筆では表現しきれないような細かい部分まで再現できるのでございます。

塗りや書きの表現に比べて丈夫な彫刻木札

一般的に、手書きや漆塗りも含めた塗料による湿布や塗装なども、擦れたり極度にぶつけたり過度の接触で部分的に剥がれることもございます。

彫刻木札も傷はつきますが凹凸がありますので、よほど押しつぶされない限り文字が判別できなくなることはありません。

また技術開発による浸透させるような塗装の場合、使い込んでの味わいが出にくい事だけは確かと思われ、生木に触れたときの温もりを感じる度合いも少なくなることは否めません。

意味ある塗装であれば良いのですが、手間を省略するだけの意味合いの塗装だとしたら・・・そうした負の想いが、ものを通して伝わってしまうものと私は考えるのであります。

蒲生彫刻二代目と四代目

もう1つ油分の浸透ということがあります。
日本で古くから使われている「櫛」は黄楊が使われますが、使い始めから色や手触りが落ち着いて見えるのは、細い形状を安定させるために予め油分を浸透させるからです。

黄楊櫛と生木の本黄楊木札

椿油などの自然由来の油が使われますが、油分の浸透は木の風合いや味わいの変化という意味では、意識的に経年変化を加速させているとも考えられます。

こうした自然由来の油分の浸透は、木札にとっても味わいが出て良いことと思います。

黄楊櫛と生木の本黄楊木札と使い込んだ木札

 しかし、新品の木札が経年変化の落ち着いた状態であるよりも、生の木から自分自身が触れ、自分自身と同じ時を過ごし、自分自身の油分が浸透し、自分自身と共に歩んだ変化成長の過程が木札に刻みこまれていく様が自然ではないか!と考えるのでございます。

本黄楊 木札の経年変化の比較

私共で扱う木札=提げ札として使われる「木札」は、首掛けネックレスやストラップとして身近で触れる機会も多く、鞄、バック等の提げ札としては過度に消耗を余儀なくされることが想像されます。

使うほどに味わいが出てくるスネークウッドの木札

 その上で、『木の温もりや自然の癒しの力を感じる丈夫で長持ちする木札を追求した結果、塗装を一切せずに丁寧に磨き上げた生木で作られた木札』に至り、これからも改良を続け進化し続ける!それが、私、芳雲が目指す木札なのでございます。

自然の魅力を感じられる木札。
丁寧に磨くだけでこれだけ綺麗に輝いて見えるのですから!

蒲生芳雲が目指す木札作り

そして長く使って自分の色に成長するお木様(おこさま:木札)達。

自分の色に成長するお木様(おこさま:木札)達

話はかなり脱線してしまいましたが、とても重要な部分でもありますので!!!

話を戻しまして、

先程のスネークウッドからどの位の数量の木札が木取りできたのか?

豹柄紋=蛇紋=スネークウッドの柄は良好でしたが割れ裂けが特に多い素材でしたので、良品としてご案内できた数は以下の通り、かなり目減りしてしまいました。

これがスネークウッドの1つの現実・・・

そして、そして、私が木札に携わって17年目にして初めて出会った!この素材!!!

16年目にして初めて出会った厚みのあるスネークウドの良柄材

昨今、濃淡の強いスネークウドも見かけなくなり、また、この記事のこれまでに出てきた素材とは、一線を画すような濃淡と柄の細かさ!

スネークウッドの木札 極上柄

しかも、厚みが通常の「だるま・みりょう」サイズの7ミリより遥かに分厚い8ミリをそのままに!

たかが1ミリ、されど1ミリ、この大きさで1ミリの違いは圧倒的な存在感の上増しがあり、加えて割れ裂けも非常に少ない極上スネークウッドに出会えたのでございます。

極レアだるま札祭 第二弾の素材たち

8ミリの厚みでこの柄で無塗装、無傷は超極レアとしか申し上げようがありません。

ほかの極レアの素材達と並べても、圧倒的な存在感は一目瞭然でございます。

毎年だるま札の素材を持参して達磨寺にご祈祷へ

それだけでなく、今回のスネークウッド達は尚も幸運を運んでくれるかもしれません!

製材前の氏神様へのお参りは、どの素材もルーティンワークでしておりますが、さらに別途、ここ数年毎年欠かさずその時にある「だるま札」サイズの素材を持参し群馬高崎の「達磨寺」へ、

達磨寺でだるま札の素材と一緒にご祈祷へ

今回の奇跡の極レアだるま札祭のスネークウッドだるま札達も間に合いまして、一緒にご祈祷を授かったのでございます。

極レア木札 だるま札祭 第1弾 第2弾

ここまでしますと、もう我が子のようでございます。

その様な出会いから辿り着いた大事な大事なお木様達でございますので、木取りする時に、より緊張したのは当然といえるのでしょうか!?

スネークウッド木札の木取り

これ程の良質材を木取りする次の機会はないのかと思い動画に収めました。何度も何度も確認をしている様は、手がどもっているように見えるのです(笑)。

最後にもう一度、この厚み、この細かい良柄のスネークウッドをご覧ください。

奇跡のスネークウッド良柄の大きい木札

17年目にして最良で最高の大きな素材の良柄に出会えたということは、果たして・・・

この先にもう一度、出会えるのか・・・?

極上スネークウッド 木札 snake wood wooden tag

1.個体数が極めて少ない極レア!
2.不規則な柄の出方による極レア!
3.大きなサイズ程、木取りが難しいレア!

3つの極レアが複雑に入り混じる自然素材、神のみぞ知る一期一会。
⇒スネークウッド豹柄札

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