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2023年3月28日(火)

本黄楊 (柘植)材の杢も含めた仕入れと木取りについて

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本黄楊 (柘植)材の杢も含めた仕入れと木取りについて

これまでにも、仕入れや木取りのことなど書いてまいりました。

どうしても、レア素材の紹介が多くなるのは必然でしょうが、通常のラインナップの中では「青黒檀」が多く登場しています。

 

「青黒檀」自体がレアな素材で通常ラインナップにあること自体が珍しい訳ですが、何といっても木取りにとても難儀しますので、どうしても難儀な箇所をお伝えすることになってしまいます。

 

一方で他の素材は、あまり出てこないから仕入れや木取りに難儀することはないのかなぁ~、

全くそんなことはなく、今回は、本黄楊材編として木札の木取りや、人気のレア部分『杢』について記したいと思います。

 

本黄楊材は、国内最高峰品質と云われる「御蔵島産」を使用

 

本黄楊 原木 木札 御蔵島産

 

まず、黄楊自体に注意が必要なのは、国産黄楊が高価であることから代用材として知られる「シャムツゲ」は、やや黄楊に質感は似ているものの全く違うアカネ科の植物です。

 

「シャムツゲ」も『つげ』には変わりありませんので、まず注意したいところです。

 

フダヤドットコムでは当初より国内最高峰の品質と云われる「御蔵島産」、いわゆる「島黄楊」を使用しております。小さな離島で過酷な環境に育った「島黄楊」は、肌理が細かく手触りが良い=密度が高く木肌の表面が綺麗ということに繋がります。

 

「分取りの良さ」か「木目の良さ」か「杢」をとるか、自分で決める品質維持

仕事の効率だけをとるのであれば間違いなく「分取りの良さ」を優先したいところ。

 

本黄楊材 柘植 御蔵島産

 

こうして半割した断面を見て買い付けをいたしますので、なるべく木目が直線的で節の少ない材を選びたいところです。

 

多少の割れはあっても、木目の通った素材は扱いやすく通常の作業的には効率もよくなります。

 

 

しかし、直線的で節の少ない材を選びますと、人気の希少部位「杢」と遭遇する確率は低くなってしまいます。

 

では「杢」を狙って仕入れたい時には、

 

 

節や荒れの多い部分を含んだ素材から、選定することになります。

 

 

荒れている部分が多いということは、作業効率的は望ましくはありません。

省いたり、木札の形にしても、割れ裂けがつきまとうことは想像の通りです。

 

本黄楊 原木 御蔵島産 フダヤドットコム木札

 

であれば、効率を選んで木目の通った素材の一択でしょ!

と、なる訳ですが、あながちそうとも言い切れない部分があるのです。

 

それは、木材の一部に自然に発生する黒い染みや木目が濃すぎる部分がでることがあるからです。

 

 

木札は数センチ四方の小さい細工物ですので、こうした部分が表面にでますと著しく見栄えを損ないます。

 

残念ながら、こうした染みなどは断面からは判断できないため、良い部分の横には必ずあってしかるべきものと受け入れるしかないのです。

 

しかし、すぐ横の部分はとても綺麗であったりしますので、表面を磨いて木札のサイズに木取りする時に省いたり、また少しの面積であれば柄だけの面などに使用したり、それでも使いづらい時はアウトレット行きとなったり。

 

仮に、木札への成形まで外注した場合は、染みなどの省きたい箇所まで使われてしまいますし、何より経費が掛かているので省けずに、どうしても使いたくなってしまうのではないでしょうか。それでは当たりハズレが生じ品質にばらつきがでてしまいます。

 

したがいまして、私が一番肝心だと心得るのは、自分の目で選んで自分で製材をするということで、こうした取捨選択が自身の思うようにできますので、しいては品質維持に繋がるということなのです。

 

自分で素材の選定もせず見もしなければ、果たして、どんな「つげの木札」を仕入れることになってしまうのか、もしかしたら黄楊じゃない、、、冒頭のシャムツゲなんてことになりかねない。

 

自分の目で選んで自分で製材する。当初より心がけている理由なのです。

 

サイズに合わせて幅の木取りから木札への成形まで製材工程のこと

黄楊の板材から、サイズに合わせて幅を切りそろえていきます。

木目の通った素材であれば板材を1枚分、約1時間程で幅に揃え磨いて木札サイズに形にするところまでは進みます。

 

しかし、「杢」の部分を綺麗にとりたいとなると、まずは木取りの構成を考えなくてはなりません。

 

本黄楊木札 板材から木取りの構成

 

また「杢」の周辺は荒れが多くあります。

片側は、綺麗に木取り出来そうに見えましても、

 

 

もう片方の面を見ますと、大き目のひび割れがある!何てことは日常茶飯事。

 

 

こうした部分は、普通の木札としても欠陥部分となりますので、小さくした後は販促用の豆札に使用できるものは使っていくことになります。

 

それでも、使用できる部分は全て使い切りますので、

例えば、次の画像の左下の「杢」部分は、黒い節点がありますが、効率が悪くとも丁寧に木取りから考えることになります。

 

 

両面を確かめながらになりますので、この3枚分の木取りの構成を決めるだけで3,4時間。さらに切り進んで行くうちにも状況が変わったりするため、通常の7~8倍かけて、やっと下磨きの前の状況まだ辿り着くのでございます。

 

 

ここから、初めて彫刻前の下磨きに入るのですが、かなり長くなりましたので、本黄楊木札の「杢も含めた仕入れと木取りについて」はここまでといたします。

 

これで出来た木札は、どうなるか?

 

極上杢 木札 フダヤドットコム

 

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木札の磨き、製材工程も気になるという方は⇒過去記事をご覧ください

 

 

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この度、ショートバージョンに編集していただきましたので、今まで見た方も、まだの方も、「木札づくりへの思いの動画」ぜひ一度ご覧いただければ幸いでございます。

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