地震、水害、台風、地震、台風、台風、今年は続いてしまっていますが、ブログをお読みいただいている皆様はご無事でしょうか。被災された皆様には、心よりお見舞いを申し上げます。
さて、こんな時ではございますが、
お客様からの嬉しいご連絡、ちょいと手前味噌な話にもなってしまうんですが・・・
「フダヤさんの木札は、ピリっとしているといか、スッキリ見えるというか、そう感じるのですが、何でですか?」
有難いお言葉を度々頂戴するのですが、様々なお言葉から紐解きますと、その要因は一つではなく幾つか当てはまるのですが、その内の1つ『子持ち枠』すなわち、『外側にある細い外枠』が一つの要因ではないかと思い至りましたので記事にしたいと思います。
では、こちらの間違い?探し!?
では、ありません。
それぞれの違いはお分かりになりますよね?
[小若]の文字と内側の長方形の枠は、全て同じ大きさで、子持ち枠=外側の線の太さや大きさだけを変えておりますが、ちょっとの差でこれだけ見え方が変わります。
そもそも、子持ち枠=外側の枠がいるの?いらないの?って話にもなりますが、
「子持ち枠」がないとのっぺりした見た目で若干しまりがないように見えます。外側の「子持ち枠」有った方が御札っぽく洗練され引き締まったデザインに見えるのは確かです!
しかし、その太い細いの微妙な違いで見え方が大きく変わってくるのでございます。
デザイン的な由来でもある千社札は大きさが決まっており、明治20年から「子持ち枠」の大きさも統一されております。
千社札(紙)と木札の違いは『擦り物』と『彫刻物』であるということ。すなわち、擦り物には凹凸がありませんから、線自体が細くても、線と線の隙間が無く、くっついていても構造的な問題はありません。
逆に、「木札には凹凸がある」ので千社札の寸法のまま縮小したのでは、線が細すぎたり、木で残る部分が細くなりすぎると強度に問題が出るのです。
それならば、木札に合った「子持ち枠」を作ってみよう!
どの太さが格好いい姿に見えるのか?
太すぎると野暮ったく見え・・・
強度を維持するために、木で残る部分を広めにとり過ぎても、線が強調されすぎ眼が行ってしまうと、中の文字が死んでしまう。。。
先程もお伝えしたように[小若]の文字と[小若を囲む長方形の大きさは全て一緒]です。
次は、外側の線=「子持ち枠」と[小若を囲む長方形]の間隔の違いを見て頂きます。
「子持ち枠」は『3つ共に同じ太さの線』で、左から順に0.5ミリずつ外側に大きくずらして彫刻してあります。
同じ大きさの文字と枠、同じ太さの子持ち枠の線でも、0.5ミリの差=片方の側では0.25ミリの差しかないのですが、これだけ見え方が変わってくるのです。
次に、サイズを変えてもバランスは同じ?
と、いうことで、先の3木の中で一番バランスの良いと思える子持ち枠の太さをそのまま、大きいサイズに拡大して当てはめてみます。
だいたいいいんじゃないか?
と思うのですが、囲いの枠線を0.5ミリずらすだけでも違って見えるのですから、この辺を集中的に少しずづバランスを変えて最良の見た目を感を探すのでございます。
その際、線の太さは0.1ミリずつ太さを変え、囲いの大きさも0.1ミリ毎に大きくして試してみる訳です。
どうでしょう?
微妙な違いですが、実際に彫刻して比較すると、調整した[御頭/かしら]に比べ[小若]は「子持ち枠」が細く見えたり、全体的に迫力に欠けると思うのでございます。
最終判断は!
「自分が持っていたいものを作る!」
単純なことかもしれませんが、そのために、0.1ミリ単位で線の太さの強弱、0.1ミリ単位での枠の大小を調整、全てのサイズそれぞれ、個別に見た目を重視したバランスに調整しているのです。
「自分が持っていたいものをつくる」この一念を貫いておりますので、妥協はいたしません。
えっ?文字間の小さい短冊?
もちろん、文字数によって大きさや線の太さも変えています。
見た目はもちろんですが、凹凸の強度も考慮して調整しております。
浅すぎては擦り物や印刷物と変わりありませんので、仕上がり時の強度を考慮し、彫刻の彫り込んだ見栄えのする適当な深さを考えて調整をしているのでございます。
加えて、文字数によっても出来る範囲の中で、大小、太細、長短を調整することは云うまでもありません。
「子持ち枠」だけの話で、とても長くなってしまいましたが、次の記事では「文字の配置、バランスの調整について」木札がスッキリ見える訳をご紹介できればと思います。
***木札職人芳雲の木札作り***
(全工程公開~リンクしました)
・「子持ち枠」枠取りの調整 ←この記事
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・文字の配置、バランス調整
(隅から隅まで縁起よいことがあるように)
***「神は細部に宿る」***
正直で真っすぐなものづくり
■もっと知りたい木札こと
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