少し間があいてしまいまいたが「第2弾~福が、良いことが沢山ありますように!の願掛け文字調整」について、どどーーんとお届けいたします。
さて、同じ「亮太(りょうちゃん)」の木札・・
どちらが見栄えするでしょうか?
先程の木札を拡大してみます。
願掛けとして願いを込める千社札、そして、寄席、歌舞伎などに使われる文字が一様に『太くて画面一杯に大きく描かれる』のは意味があります!
それは!
「隅から隅までお客様が沢山入りますように!」という験担ぎの意味、どういうことかというと!
『福や縁起の良いことが隅から隅まで隙間なく沢山入ってきますように!』と、縁起の良い書体で画面一杯に隙間なく大きく表現し験を担ぎの意味合いが込めれれているのでございます。
したがって、できるだけ大きく!
その中でスッキリ見えるように調整していく工程をじっくりご案内いたします!!!
まず、木札に文字を彫刻する前に全体のバランスを取るため下書きを作る第一段階、文字をタイプします。
何も調整しないと1文字1文字の大きさもまちまち、文字の間隔などもバラつきがあります。
これを1つ1つ丁寧に、隅から隅まで入るように大きく調整していきます。
1文字1文字、丁寧に調整することで、これだけ見え方が変わります。
人の手が入ること、それは、心がこもり、魂が宿ることになり・・・作り手の個性となって現れるのでございます。
たとえ、1文字の表現でも、
間の取り方ひとつで表現は変わりますので、手は抜けないのでございます。
この決められた枠の中に表現するということが案外と大変な訳でございまして・・・
紙にフリーで名前を書いてみます。
これに枠をつけてみますと、所々に余白があり、「大きい」「小さい」、「幅が広い狭い」「縦に長い短い」と四方八方へと大きさを使って表現されていることが分かります。
次にあらかじめ枠を囲った中に、名前を一杯に大きく書いてみます。
決められた枠内に収めようとすると、文字の勢いがない窮屈な表現になってしまいました。
一緒に見ると一目瞭然!
木札では、決められた枠内で表現をしなくてはなりません!
「福が、良いことが沢山きますように!」と、出来るだけ大きく、その中で野暮ったくならないようスッキリと見える表現を心がけるのでございます。
したがって、1つの文字の調整=文字間の間(ま)によって見え方が違ってくるのです。
したがって、同じように見える木札でも、作り方、デザインによって個性として見え方も変わる。
それは、
「自分が持っていたいものをつくる」ことに繋がります。
これが平成30年2018時点での私なりの表現ということになりますが、
今回は、さらに深く切り込んでご説明いたします。
「本田」という二文字、ただタイプして打ち込みます。
二等分した枠内ではみ出さないように調整した下書きデザインです。
これを彫刻してみます。
少し調整した右側の方が、何となく良いことは分かりますが、四角くて面積の大きい「田」の字が大きく見えてしまいます。
そこで、紙に手書きした文字の強弱を考えて調整を加えてます。
「田」の字の方が大きく見えるので小さ目に上下左右調整、「本」の字は枠からはみ出しても、くっつき過ぎない程度まで大きくして彫刻したのが「一番右側の本田」です。
一番右の調整後、何となくスッキリ見えているでしょうか?
さらに文字数が増えるごとに、
横幅の強弱だけでなく、上下の繋がりも含めたバランス調整が必要となり、それぞれの文字の特徴を考慮しながら
枠の中にできるだけ大きく=縁起の良い文字を表現する。
ただ大きくする訳ではなく、
「手にして下さる皆様に、少しでも良いことが沢山ありますようにとの願いを込めて」丁寧に調整していくのです。
こうして、1文字、1文字丁寧に調整することで、
スッキリ見えるだけでなく、文字が活き活きと躍動を始め「木札」の個性となって表現されていく、、、
言い換えますと・・・私自身の心持が表現されるということでもありますから、当然の如く昔の作品は・・・
約15年前の作品。
職人さんや芸術家の方が若き頃の作品を見て、
若い!と感じるような、ちょっと恥ずかしい!?
自分の過去ですから、一目で古い方から順番に並べることができます。
何となく、これでいいのか?と、模索している様子が伝わってきます。
しかし若さからの勢いも感じられます。
色々な素材が増え始めた12、3年前になると方向性が固まりつつあるのが見て取れます。
やがて、彫刻する機械も進化して、彫りの深さなども変化し表現に幅がでてきたことが伺えます。
さて、この先はどの様に進化を遂げていくのか、自分でも分かりません。
しかし、少しでも良くなるのでは?と思ったことは、どんなことでもトライし続けることを忘れないよう精進してまいります。
かなり長くなりましたが、木札がすっくり見える秘訣「験を担いだ文字調整編」、この辺で幕にいたします。
***木札職人芳雲の木札作り***
(全工程公開~リンクしました)
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(隅から隅まで縁起よいことがあるように)
↓次の工程
・木札に彫刻
***「神は細部に宿る」***
正直で真っすぐなものづくり
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