自分の目で実際に見て仕入れる。これまで一貫して続けておりますが、昨今、年を追うごとに良材確保の難しさを感じるようになりました。
ネットショップ、フダヤドットコムを開設した2004年、平成16年当時は、仕入れに行けばいつでも[思うような素材=作りに適した素材]がありました。
最近は、望むような素材が見つからず、フダヤドットコムの作りに合う素材をお伝えし探してもらっているのですが、
・・・見合った素材が入荷せず、先日、基本ラインナップの中で初めて定番商品の入荷待ちの事態を招いてしましました。
自然素材ゆえ個体差に大きな幅がありますので、その木材なら何でも良いという訳にはいきません。
フダヤドットコムの木札の作りに向きそうな素材を選ぶのはもちろんですが、仕入れの際には見える面だけを頼りにして仕入れるほかなく、さらに選べる幅が確実に狭くなっているのです。
ここではフダヤドットコムの原点でもある「さくら材」の仕入れの様子を記してまいります。
「さくら」にも色々な種類があり、数ある種類の中で使用しているのは『山桜系のさくら材』、一般的には『本桜と言われる種類のなるべく茶色い部分』の中よりさらに厳選します。
なぜ?茶色味が強い素材を選ぶのか?
それは、一般的に茶色みが強い方が強度も優れ、仕上げ磨きの後の光沢が良いが多くいことから、まずは色味で選別をいたします。(色味が良くてもハズレることもあり気に入らない素材は、粗品や見本として使用)
画像を拡大してご覧いただくと良く分かるのですが・・・
【本桜の特徴】でもある『緑いろっぽい筋目』が強すぎる素材だな~とか、
『茶色の濃い筋目や、点、点』が多いな~とか、
小さく細かい筋目なので、「家具や看板」など素材を大きく使うのなら全く問題ないのですが、
木札は数センチ四方の大きさ。その中に筋目が強くありますと、快い木札ではなくなります。
では、
「木札の作りに適さない部分が木材の全てにでているのか?」というと、一概にそういう訳でもなく、極良質の部分と隣り合わせのことも多くあるのです。
しかし、仕入れの時には表面や断面だけを見て想像し判断するしかないのでございます。
まるで鮪の仕入れの時に「尻尾の根元の断面」を見るのと同じような思いがいたします。
こうして素材を見極めてから、木札の厚み、場合によっては横幅を整えるまで、業者さんに成型をお願いをしております。
素材が届きますと!いつもルーティンで氏神様へ、
しゃん、しゃん、とお参りをして・・・
ここからがドキドキ~の瞬間なのでございます!
なぜ???
表面を見て厳選した素材の中心部分が果たして木札として使える材質であるのか?木の内部は切って見ないとわからないから・・・
片方の面には、バーズアイ(鳥目)のような節目が多く見られましたが、色味だけでなく木肌の光沢がとても良かったのでチャレンジ購入してみました。
1つの塊の反対側は、節目が少なく・・・果たして片側の節目が、どこまで入り込んでいるのか、購入前に割ってみることはできませんので「勝負」な訳でございます。
「よっしゃ!」
節目が少なく木肌が良い表情であると思わず声がます。目利きが叶った!想像どおりのVサイン。
さて、もう1丁の角材は『色味が良い中』で「茶色い筋目が少し目立った素材」、、、
・・・角材の中心近くまで茶色の筋が入っていないことを望みます!
うーーん、案外と中心部分まで次から次へと筋目が出てくるなぁ、
やはり、マグロの尾っぽからの買い付けを見ているように思うのでございます。
味はしませんが(笑)、使えそうな部分が多くありそうなので、ひとまず良しとする、仕入れはこんな感じなのでございます。
冒頭にもお伝えしましたが、約15年前には選別せずとも、明らかな良材が選び放題であったのですが、現在は、このような状況になっているのでございます。
しかし、足を惜しまず通う事で良いこともあります!
超、超、極、珍しい「ハカランダ」や「自然の2色」、
など偶然的に巡り合う、とても珍しい素材に出会える機会が増えるのでございます。
また、定番の素材でも、より良い素材に出会うのも!
自ら足を運び、この眼で直接見ているからこそ出会えるのだと、
・・・自然素材は個体差が激しいので、自分で目で見て仕入れることをしなければ、成り立たないと考えるのでございます。
一期一会の木材の仕入れ。
どんな素材と巡り会うのか・・・この先もラインナップを維持できるのか?変わっているのか?楽しみつつも!!!良い素材を維持することに努めてまいります。
***木札職人芳雲の木札作り***
(全工程公開~リンクしました)
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・彫刻前の下磨き
・文字の配置、バランス調整
(隅から隅まで縁起よいことがあるように)
***「神は細部に宿る」***
正直で真っすぐなものづくり
△素材 について深~ぃぃ
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