浅草鳥越
名入れ 彫刻木札専門店
代表職人芳雲の木育て日記

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2018年7月25日(水)

木札製材の道は一日にしてならず(彫刻前の下磨き編)

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 皆様の想いを木札に表現する職人「蒲生芳雲」でございます。

木札製作 製材風景

『木札製材の道は一日にしてならず』ということで、今日は彫刻前の下磨きまで!

磨き上げて仕上がった木札

先日の動画では説明しきれない!私が木札を作り始めた頃の製材から現在に至るまでを一挙公開いたします。

木札の幅に整えた製材前の「左から桜・黄楊・青黒檀」、

木札の板材 さくら・本黄楊・青黒檀

このままでも充分綺麗!このままでいい?

・・・以前からも度々お伝えしている通り、実際に自分の眼で見て素材を厳選した上で、木の厚みを調節するところまでは業者さんにお願いしております。

パット見、目出ちませんが、厚みを調整する機械のヤスリの刃跡が木の表面に残っているのでございます。

そこで、素材の中で一番見やすい青黒檀をアップして見ます。

機械での厚み調整で残る刃の目

拡大すると「木の横方向」に『細かい線の筋』が均等に見えています。

この細かい筋が厚みを調整する機械でついてしまう刃の跡で、黄楊や桜材は見えにくいかもしれませんが、同じようにヤスリ目の刃の跡が残っているのです。

製材前の板材には機械のヤスリ目が残る

綺麗なら!?そのままでもいいのでは?
わざわざ、手を入れる必要があるのか?
『目に見えるか見えないかの凹凸』を取り除く必要があるのか?

その答えは!!!

「凹凸のまま」と「凹凸を磨いた」木札では、使い始めの『見た目』はあまり変わらないのですが、使い込むば使い込むほどに、その時々の状態に差がでてくることを図にまとめてみました。

木札を磨かないで彫刻して使ったイメージ

 「厚みを整えただけで表面を磨かず」に彫刻した木札も、凹凸もありますので、それなりの外見は保っているかと思います。しかし、手にした時の感触はザラつきを覚え、木の優しさや温もりを感じることは少なかろう・・・・また凹凸に無駄なよごれが貯まり見た目が汚くなることが想像されます。

あらかじめ、そうしたモノだと思えば、それも良いと思います。しかし、皆様が手や体に触れてお使いになることが多く、また皆様の想いがこもる木札になる訳ですから、最初だけでなく『使い込んでからも味のある木札』になることを望まれるのではないでしょうか。

フダヤドットコム芳雲の製材イメージ

私が木札を作り始めた当初から思い始めたことですが、15年前と今とでは製材方法に違いがあるので・・・、、

当初は台に板材を並べてヤスリがけをしていました。

木札を作り始めたころは台に板材を

まんべんなくヤスリが当たるように、「板材」が動かないよう工夫を加え

板材のひっかっかり

ヤスリの番手を徐々に下していきますが

それなりに圧力を掛けますので、ヤスリを掛けている反対の面が台との摩擦で傷が残ることが多く難儀をしたのでした。

そこで、刃物で削ると表面が綺麗に仕上がるという事で、鉋掛けにも挑戦しました!

板材を鉋がけ

ラインナップの中では、桜材はカンナが入りやすい方なのですが、木材全体からすると桜材も堅い方の部類に入り、カンナがうまく入りません。

桜材を鉋がけを試す

 そこで、もっと効率よく綺麗に仕上がる鉋のような刃で削る機械はないのか!?

超削りカンナ盤

と、試したのですが・・・今や使いかけのヤスリ置き場と化しています。

超削りカンナ盤

こんな風に刃がついておりまして、上のキャタピラの部分で挟むように削っていくのですが、

堅い板材は刃物も入りにくい

フダヤドットコムで扱う素材の堅すぎにより刃が立たず、、、

黒檀などは堅すぎて逆に刃が持たないのでございます。

それでも何とか使いこなそうと頑張ったのですが、板材が長いと入口~出口の距離も非常に長くなる訳で、、、(入ってから出るまでなので、板材の倍以上の長さの広い場所が必要)

刃物で板材を削る

 フダヤドットコム当初の「さくら材1種」の時に少し使っただけ、、、

当店のランナップの木材は堅すぎるので、削るよりも刃のメンテナンスばかりになってしまうと機械での製材は諦め、

現在のスタイルになった訳でございます。

その下磨きの工程では、ヤスリの番手を4回おろし磨いてまります。

木札の製材のヤスリ

その4段階で下磨きで、この位までに仕上ております。

「磨いた材」と「磨く前の材」の違いをご覧ください。

さくら板材の下磨き

光具合で違いを分かって頂ければと思うのですが、冒頭で紹介の青黒檀のヤスリ目の筋が残っているのと、いないのでは当然違ってまります。

青黒檀の製材、下磨き後

さらに分かり易い素材がありました。スネークウッド、豹柄札!

スネークウッドの厚み調整した機械のヤスリ目

自然の蛇紋、豹柄が特徴でありますが、この角度からだと厚み調整のヤスリ目が目に付き=それは表面に白い霞がかったよに見えると思います。

機械で厚みを調整されたスネークウッド

本来は深みを感じる素材ですが、このままだと奥行きを感じることもありません。

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しかし、下磨きの段階で4回ほどヤスリをおろし磨いた姿を!

(上の画像と同じ並びにしています)
スネークウッド 木札の製材下磨き

手にした時の手触はもちろんのこと、この磨きが彫刻のシャープさ、汚れの付きにくさ、使い込んでの味ノリを生むのでございます。

スネークウッド木札の製材下磨き(前の画像と同じ並びにしています)

木の素材達が喜んでいるような気がしませんか?

いい顔つきになってきたなぁ。

ようやく、板材の下磨きが終わりましたが、木札の形になるまで続けて書いちゃいます。

次に木札のサイズにあった長さに切断していく訳ですが、

木札のカット断面

フダヤドットコム当初、桜材だけだった時は、切断したままで処理をしておりませんでした。

角を取る(面取り)と、まぁ見栄えは大体いっしょ、、、

木札の成型、今昔

ですが、ずっと気にり続けた「この断面」の荒れ具合、、、

気になる木札の断面

まずは、ヤスリ掛けをしてみました。

木札の断面の処理

手間が掛かる割には、桜材の断面は綺麗にはなりませんでした。

そこで!
目の細かい鋸刃でもう一度断面を削りなおしてみました。

木札の切断は2段階の刃を使う

案外と綺麗に整ったので、さくら材の断面の処理は、この位でいいのでは?と、『現時点』では思っているのでございます。

木札断面の面取り

 もちろん4つの角と断面の面取りも忘れません。

木札断面の面取り

こうして、現時点での桜材の下磨きに至ったのでございます。

左が昔、右が現在の仕上げさくら材木札の断面

 しかしながら、素材によって木の特性も違いますから、磨いて鏡のような光沢がでる黒檀類や本黄楊などの高級素材は、

木札高級素材の断面処理

断面もヤスリの番手をおろして磨き上げると共に、角の面取りを施します。

青黒檀の断面の磨き工程

素材毎に特性が違いますので、作業の工程も変えるだけでなく、さらに良くなるようにと日々進化を続けているのでございます。

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ようやく、木札の形には成形されました!が~?

ボール盤で穴あけ

まだ、穴あけが残ってました。(笑)

これも手作業で開けていますが、開けたままですと、下の左2つのように穴のフチが毛羽立っているので、

穴あけの面取り

面取り(角落とし)用のボール盤で、穴の周りを削るのでございます。

木札の穴あけ後の面取り

ようやく下磨きが終わって文字を彫刻する手前までの工程が終わった訳ですが、、、

実は、これを10秒あまりで切り抜いてしまうことが出来るのです。はい出来ました~10秒速っ。

レーザーで切り抜いた木札

何だったんだ?
積み重ねてきた15年・・・何てことはありません。

レーザーで切り抜いた木片 木札

一見普通の札に見えますが、手元で見ますとレーザーで切り抜いた側面の焦げが目立ち、加えてヤスリ目と同じような筋跡が強く残っており、綺麗な印象は持てません。

レーザーで切り抜いた木の側面

メインは、側面ではなく皆様の想いを込めた文字や言葉ですし、この側面は使い込んだら、ちょっと汚くなりそうです。

切り抜いた木片木札 と 丁寧に磨いた木札 比較

 手にしてみると感触が全く違います!!!自分で云うのも憚れるのですが、手前のレーザー切抜きの木は木札というより木片?木の温もりや、自然が持つ癒しの力も、全く感じることはありません。

愛情がこもっていない。。。

さらに堅い黄楊や黒檀類は、このように切り抜く事はできません。

お伝えしたいのは、木であれば何でもいいというような量産的な仕事は僕には不向きであり、木の温もりを感じる優しい木札に仕上げたいのでございます!

下磨きが終わり彫刻へ向かう木札

木と真っ直ぐに馬鹿正直に向き合って、対話をしながら皆様のご依頼を『作品』として仕上げていきたいのです。

木札職人蒲生芳雲の手

ようやく彫刻前までの下磨きができました。

次回は、彫刻から仕上げの磨きの15年をお伝えしようと思います。

***木札職人芳雲の木札作り***
(全工程公開~リンクしました)

素材の仕入れ 目利き

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木札の穴あけ

「子持ち枠」枠取りの調整

文字の配置、バランス調整
(隅から隅まで縁起よいことがあるように)

木札に彫刻

彫刻後の仕上げ磨き

無垢の生木による彫刻木札に辿りついた理由

***「神は細部に宿る」***
正直で真っすぐなものづくり

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