『木が持つ本来の癒しの力や木の温もりを感じる手触り』を追求するため、無塗装による究極の磨き仕上げを目指す木札職人「蒲生芳雲」でございます。
先日の仕入れ際に、木肌(木の表面)の色味などを見て来ましたが・・・
果たして、木の中心部分がどんな材質かいつも不安でありますが・・・、いつもの通り氏神様でお参り[良い仕事になりますように!]
仕入れのお話は、改めて記事にするとしまして、
先日の『木札製材の道は一日にしてならず』では、[彫刻前の下磨き]までをご覧いただきましたので、その続き【彫刻後の仕上げの磨き】の15年の軌跡を、1本の動画では説明しきれなかった!細かい部分をご紹介いたします。
フダヤドットコム開設当初は、さくら材1種、小、中、大、特大の4サイズ。何となく光るまで仕上げたいと思い考えたのが2000番の布ヤスリ。
今や懐かし、上野アトレ(2004)での3か月間の催事出店時は、この最終仕上げでありました。
その後、本黄楊や黒檀まぐろなど、木の種類が増えていきました。
これまでの桜材より、堅くて密度の高い本黄楊や黒檀類、特に黒檀は布ヤスリの繊維が文字の隙間に挟まってしまったり、
桜材よりも、より堅く密度の高い本黄楊や黒檀類は、かなりの力を入れた磨きが必要で、時にはヤスリと木札の間に埃などが挟まり、気付かず擦り付けると大きな傷が付くことが多々発生してしまいました。
そこで!
ふっと思い出したのが、「木工製品などジーパンの生地で磨くと綺麗になる!?」と。。。
桜材から、スリスリーーー
本黄楊も青黒檀もスリスリ、ゴシゴシ
スリスリしている手に[程よい手応え]があるので、良さそうな気がします・・・
が、あらら、、、
ジーパンの青色が移ってしまい、全体的には艶がでて良く見える部分もありますが、やはり色移りが過ぎているようです。
せっかく艶がでているのに、、、色移りを少なくするには?
色のない白いジーパンではどう???
どうした訳か「青いジーパン」ほどには艶が出ていない様子。これは、何が関係しているのだろう・・・藍色の成分は?なに・・・油分かな?
そこで、次に取り出したるは『蜜蝋(みつろう)』。木札は使い込んで油分が浸透して来ると良い味になってきますので、≪自然由来の油分と蝋≫を成分にした『蜜蝋』を湿布してみました。
仕上げ材であろうとヤスリの磨きであろうと『木の温もりを感じらるため』に、よりよく仕上がるなら!?
と、試行錯誤を続けたこれまでの15年。
素材を活かしたよりよい仕上がりになることは積極的に取り入れ現在に至ります。
しっとりした木肌にはなりましたが、凹みに蜜蝋が溜まってしまい見栄えがよくない。
皆さんが手にした後に、ご自身で油分などを湿布されるのなら良いかもしれませんが、やはり最初に手にする瞬間は「綺麗な無垢のまま」でお渡ししたいと思ったのでございます。
・・・だからこそ無垢の仕上げにこだわり、次に取り出したるは!最近試したコレ
楽器を拭くと綺麗になる!と、マンドリン会社の社長様から頂いた「皮?」、セーム皮っていうのかな、
疑う前にまずやってみる!今度は、少し優しく磨いてみま~す!
とはいっても、それなりの力でゴシゴシもします。ツルツルピカピカの仕上がりを目指しますから!
本黄楊札は、これまでと同じようにゴシゴシ磨いてみましたよ!
さて・・・結果はどうなったでしょうか?
せーのっ ドン!!!
予想どおり?
黒ずんでしまっただけでなく・・・
皮ですので、ちょいと獣臭がただよっておりまして・・・・
しかし!
どういう効果があるのかは、やってみないとわかりませんので、気になったらまずは試してみるのです。
では今!平成30年、平成末期の仕上げ方は!?
どんな工程で仕上げているのか!?
の前にお伝えしたいのが!
木札は、木工製品の中でも手に触れたり、体に触れたりと直接肌に触れて頂く機会が多いと想像されます。
家具など装飾性の高い木工製品より小さく、実際に手にして取ることの多い木札を、自然本来の姿のままお届けすることができないか?
赤子が口にしても大丈夫な素材であり、木の癒しの力を最大限に発揮できるのは、
塗装をせずに、木本来の姿をいかに表現するためにはどうすればよいのか?
それには、『無塗装による木の素材を活かした手磨き製材』が、一番木の温もりを感じ、木が持つ癒しの力を享受できるのだと現時点では確信をしているのでございます。
自然の素材を『活かす』には、自然のままではなく『人の手が、想いが、温もりが入ることで、より活かされる』のであると。
では、いったい現在はどんな仕上げをしているのか?
文字彫刻を終えて最終仕上げに入ります。
下仕上げの後、文字彫刻をいたしますが、木というデリケートな素材ですので必ずと言ってよい程、表面には軽い擦り傷がついています。
彫刻した文字に偏りがないか?など確認しながら、
細かい傷を落とします。
次は!!!
いよいよ最終工程!
2003年に木札の道に入り、フダヤドットコムを開設したのが2004年1月。
約15年はあっという間でしたが、こうして振り返ると、書き尽くせないくらいの失敗があったのだなと、しみじみ感じているのでございます。
はい、「木札の最終の仕上げ」は、『木の種類によって変えて』おります。素材の特徴が違うのですから当然のこと。
本記事中の工程をする素材もありますし、しない素材もあります。ここに出てこないヤスリも使います。その他の道具も使いますが、『基本手作業での仕上げ』をしております。
『これからも塗装はせずに、極上の木の癒しの力、温もりを引き出すべく!皆様の想いを表現する作品に仕上げる木札作りに尽力しよう』と、改めて思い直すことになりました。
一方で、下仕上げから仕上げ磨まで、偏りのある自然素材を均一に磨いてくれる機械が早くできないかなぁ~、とも思ったりしています。
1本の動画では伝えきれない、フダヤドットコムの細かい部分第2弾「木札仕上げの道も一日にしてならず(仕上げ磨き編)」、最後までお付き合いありがとうございました。
***木札職人芳雲の木札作り***
(全工程公開~リンクしました)
・文字の配置、バランス調整
(隅から隅まで縁起よいことがあるように)
・彫刻後の仕上げ磨き ←この記事
***「神は細部に宿る」***
正直で真っすぐなものづくり
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