象嵌木札ができるまで
① 原盤制作
まずは下書きにする原稿を用意します。著作権の無くなった古物などは、しっかり描写しなければ漫画のようになってしまい安っぽく見えてしまうので、よりリアルに再現するように心がけています。(写真:風神雷神図屏風)
彫刻する意匠の細かさにあわせて拡大する倍率を決めます。風神雷神は、細かい意匠なので8倍に拡大して投影機を使って必要な線を書き写しています。
金型彫刻に必要な線を書く必要があるため輪郭をなぞれば良いという訳ではありません。金型では1/8サイズに縮小されることや彫刻刃物の太さまで考慮して線を入れています。
輪郭をオフセットさせたり実際の線の上をなぞったり彫刻の完成を想像しながら下書きを進めます。
投影機では不足する部分は、原稿を見ながら必要な線を付け加えたり修正したりしています。
書き写し終えたものを基に原盤づくりの準備に入ります。ハンコと同じ原理で逆にして原盤の作成をします。
原盤はアルミの薄板で、下書きを表裏逆さにして貼り付けたあと、この線をなぞるように鏨(たがね)と呼ばれる工具を使って「針打ち(点を打つ作業)」をして印を付けていきます。これにより下書きを取り除いても線が分かるようにしています。
針打ちした点に沿って次は溝にしていく作業があります。
線と線の交差するところで微妙な凹凸を付けるなどして次の金型彫刻の仕事をしやすくしておきます。これで金型を彫刻する準備が整いました。
※ 画像クリックで詳細がご覧いただけます。
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