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象嵌木札ができるまで
⑦ 落とし込み
銀細工を木札に嵌め込む前に、木札側のデザインを色々と考えています。
「駆け馬」は「朝日」との組み合わせがやはりベストと判断しました。決まり物は、決まり物の王道が一番です。しかし、普通に右向きに進むのは面白くないので、縁起の良い「左馬」にして、背景の大きさやバランスを微妙に変えて試します。
これだ!というのを選んで銀細工を埋め込む訳ですが、そのまえに画像のような「落とし込み」を作ってから嵌め込みます。
銀細工は同じように見えても1つ1つ輪郭形状が微妙に異なります。丁寧にその都度輪郭取りをしなくてはなりません。
1つ1つ違うということは、銀細工を逆に入れ替えたら落とし込みにはピッタリと入りません。画像では口元や脚の内側に隙間があるのがわかると思います。
二つの銀細工を見比べてみると、尻尾に注目してみてください。こちらは丸くすっきりした尻尾です。
一方で、こちらの尻尾にはオマケが出っ張っているのが分かります。象嵌木札を作り始めた当初に落とし込みを大きめにして両方必ず入るようにするという案もありましたが、隙間にホコリが入ってしまうのが気になってしまい隙間を無くす方法を現在でも取っています。
出来上がった銀細工それぞれの形状に合わせて落とし込みを作ります。
正確に輪郭取りをする訳ですが、同じ龍に見えるものに輪郭線を引いてみました。
二つを重ねてみると、手の部分だけでなく全体的にも細かい部分がそれぞれ違っていることが分かります。
それぞれ逆に銀細工を嵌め込もうとしても絶対にうまく入りません。画像では嵌っているように見えるかもしれませんが、実際はまったく入っていないのです。
もっと複雑な風神様・雷神様で同じように見てください。
この時点で細かい大部分が違っているのが分かります。一応、線を重ねてみると一目瞭然です。
雷神様も同様です。本当に同じ金型で作っているのかと思うほど、打ち抜きと切り回しでここまで輪郭の違いが現れます。
このように隙間なく調整していますので、接着前のテスト段階でも斜めにする程度ではなんて事はありません。
振ったくらいでもビクともしません。最低でも、軽くトントンと衝撃を与えないと銀細工を落とし込みから取り出すことはできません。
精度が高すぎると叩きつけても取れなくなることもありますが……。
純銀細工が落下しないように、いくつかの工程を施したのち最終的に接着をしております。ここでは企業秘密ということでブラックボックスに収めさせていただきました。
現在、1年の期間ではございますが落下への保証をお付けしております。以前からの実績を加味しますと、その期間を過ぎればほぼほぼ完全定着と言ってよいのでは、と現時点では考えております。
ピッタリ嵌ると、ご覧のとおりです。
仏像の象嵌木札(ぞうがんきふだ)の落とし込みには、象嵌している仏様の梵字を隠し彫りしております。
今まで、この事はお伝えしていませんでした。純銀細工が落下してしまわない限り見えませんが……。これまでにお求め下さった仏像象嵌にも、漏れなく梵字を彫刻しております。
象嵌木札を作るのに機械を使う工程もありますが、ほぼ手作業ということ、感覚的な要素が含まれていることが伝わりましたでしょうか?
フダヤドットコムでしか作れない隙間なく純銀細工を埋め込んだ「純銀製 象嵌木札」の誕生秘話でした。最後に、この金型はどこで彫刻しているのかというと……
フダヤドットコムの店舗の奥!? そうです。フダヤドットコムの母体「蒲生彫刻」は金型彫刻の職人工房。
私は、蒲生彫刻の四代目で金型彫刻もしておりました。そして三代目の父は未だ現役の金型彫刻職人です。
象嵌木札を普段使いとして、和風のアクセサリー的に使ってくださる方も多くいらっしゃいます。特に和物が好きという方には、より好評を頂いております。
象嵌木札をオリジナルで作りたい! そんな声も時々耳に届いております。けど、いくら掛かるのか気になるところかと。
家紋などの平面の彫刻であれば、細かさにより金型代が4~5万円といったところでしょうか。半立体の肉彫りで、風神様程度の細かさですと金型代が7~8万円くらいです。
この他に銀地金の調達、型打ち、型抜き、木札の落とし込み作業、形になるまでのデザインや企画料も含めますと、一つ目は12万円~18万円ほどになります。同じ銀細工を使って二つ目からは、もう少しお安くなりますが、一度に何個作るかで、お一つあたりのお値段も変わってこようかと思います。こだわりの強い方は一度ご検討くださいませ。
※ 画像クリックで詳細がご覧いただけます。
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